第4回WEB講座
キャプテンが期待するキャビンアテンダント(CA)
JCAA顧問(元日本航空機長)小林宏之

会員の皆様、新年明けましておめでとうございます。今年の新年はいかが迎えられましたか。私は、2000年も2001年の21世紀も、太平洋上の日付変更線で迎えました。2001年を迎えるときの私のアナウンスは、「~国際日付変更線を越えて2001年1月1日21世紀を迎えました。新しい年、新しい世紀が皆様にとってよい年、よい世紀でありますよう、乗務員一同お祈り申し上げています~」でした。2015年が、会員の皆様にとってよい一年となるように願っています。

CAをめざしている学生の方から、「キャプテンが期待するCAはどうような人ですか」という質問を受けることがあります。その際に、私はいつも次のように答えています。


エアラインのフライトで最も大切なことは「安全」であり、それが確保されてはじめて「定時性」や「快適性」などが求められます。従ってキャプテンがCAに期待することは、乗客とCA自身の安全を確保する「保安要員」としての役割と、乗客の皆様が快適な空の旅をしていただけるような「サービス要員」としての役割を期待しています。CAは、常に「保安要員」と「サービス要員」との「間(はざま)」で仕事をしており、時々の状況に応じてその切り替えが迅速にできることを期待しています。


そして、CAである前に、人間として信頼でき魅力ある人です。逆に、CAの皆さんが期待するキャプテンとは、キャプテンである前に、一人の人間として信頼でき、尊敬できる人をイメージしているのではないでしょうか。


これは、Crew(乗務員)という職種に限らず、どの職業にも共通して言えることだと思います。


もちろんCrew(乗務員)は、運航乗務員、客室乗務員に拘わらず、プロフェッショナルとして専門の知識や技量を磨き続けることは当然ですね。この専門の知識や技量をテクニカル・スキルといいます。しかし、テクニカル・スキルだけでは、安全を確保することもよいサービスをすることができません。コミュニケーション、チームワーク、リーダーシップ、状況認識、問題解決などのノンテクニカル・スキルを発揮して、はじめて安全を確保し、お客様に満足していただけるフライトができるのです。テクニカル・スキルとノンテクニカル・スキルは安全の確保と、質の高い業務を行う上での両輪のスキルなのです。


CAがノンテクニカル・スキルを発揮するうえで、常に関係してくるのがコミュニケーションです。コミュニケーションは人体組織で言えば、血液の流れと同じくらいに大切なものです。身体の各器官がそれぞれ健全であっても、血液の流れが細ったり、止まったりすると病気になったり、命を失ってしまいます。このことと同様に、優秀なCrew同志、立派な乗客であってもコミュニケーションに不具合が生じると、トラブルが生じてしまうことがありますね。


この正月2日にNHKの「MISSION~若田光一船長に迫る」という特別番組で、宇宙飛行士の若田さんが仕事術等について、いろいろとお話しをされました。私も以前に、日本人宇宙飛行士安全検討チームの一員であった関係で、JAXA主催のシンポジュームに若田さんと一緒に参加したことや、若田さんと対談したこともあります。その素晴らしいお人柄に惹かれました。若田さんは宇宙飛行士としての卓越した技術的能力はもちろんのこと、リーダーシップ、コミュニケーション能力など人間的にも優れていたからこそ、日本人ではじめて国際宇宙ステーションの船長に抜擢されたのだと思います。


コミュニケーションについては、当協会でも経験豊かな会員の皆様から貴重なアドバイスをいただけると思います。CAをめざす学生・社会人の皆様、現役CAの皆様、そして元CAの皆様と共に、日本キャビンアテンダント協会の益々の発展と安全で快適な空の旅についてご一緒に考えて参りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

写真は太平洋上の「日の出の瞬間」です。

小林宏之のサイト:「小林宏之オフィシャルサイト」または「http://kobayashihiroyuki.com/


小林 宏之の略歴

1968年5月 日本航空㈱ 入社
2010年3月 日本航空 退職
パイロット歴:乗務した機種 B727  DC8  B747 DC10 B747-400
乗務した路線 日本航空が運航した全ての国際路線及び主な 国内線(飛行した空港:海外65空港、国内12空港)

主な社内歴

飛行技術室長、運航安全推進部部長、運航本部副本部長
広報担当役員付部長 
首相特別便機長(竹下首相、海部首相、小泉首相)
湾岸危機時の邦人東南アジア人救出機機長

主な社外歴

宇宙開発事業団(現宇宙航空研究開発機構)危機管理嘱託委員
日本人宇宙飛行士安全検討チーム
原子力発電所運転責任者講習講師
慶応義塾大学大学院特別講師・早稲田大学特別講師

所属学会等

エンジン01文化戦略会議、日本リスクマネジメント学会、日本抗加齢医学会、失敗学会

現在の活動

・交通政策審議会委員
・原子力発電所運転責任者講習講師
・航空評論家としてテレビ・ラジオ出演
・「エンジン01文化戦略会議」の構成員
・危機管理・リスクマネジメントの講師

講演の主なテーマ

「危機管理」「リスクマネジメント」「プロフェッショナル」
「リーダーシップ」」「安全管理」「ヒューマンエラー対策」
「組織運営」「集中術」「健康管理」「アンチエイジング」
「高度一万メートルから見た地球環境」等 

著書

「機長の集中術」「機長の健康術」「JAL最後のサムライ機長」
「グレートクライト、JALで飛んだ42年」

雑誌・新聞連載

・中日新聞・東京新聞の夕刊のコラム「紙つぶて」
(平成23年7月~12月担当)
・金融関の係雑誌「近代セールス」で「危機管理」
(平成23年4月~平成25年3月連載)

以上


 

掲載一覧
第6回
WEB講座 WEB講座大阪観光大学観光学部 中村真典教授 (元日本航空客室乗員訓練部長)「CAになりたいあなたへ ~教えてください!訓練部長~」ホルス出版 第8章「閉講式」から
第5回
WEB講座 淑徳大学人文学部・国際コミュニケーション学部兼任講師 池之上美奈緒「生涯CA」
第4回
WEB講座 JCAA顧問(元日本航空機長)小林宏之「キャプテンが期待するキャビンアテンダント」
第3回
WEB講座 大阪観光大学観光学部 中村真典教授「キャリアデザインワーク プロフェッショナル社会人 社会生活と自立のためのルール編」
第2回
スチュワーデス塾 「西洋料理サービス講座」より「デザートの意味」
第1回
WEB講座 スチュワーデス塾 「異文化講座」から イギリス人キャビンアテンダント訓練奮闘記

サービス&ホスピタリティ研究室へ戻る